初心者がおさえておくべきブレーキのかけ方と練習方法

ブレーキング(ブレーキのかけ方)を見ればその人がロードバイクを乗りこなせているかわかります。

最近はディスクブレーキが主流になってきてエントリーグレードでもディスクブレーキであることが多くなっています。

ディスクブレーキは効きが良い分、前輪ロックからの前転で大きな事故になる可能性が高いです。

奥が深いブレーキングですが基本をしっかりマスターしましょう。

わかりました。

しっかり学びます。

ブレーキングの重要性

ブレーキを掛ける時は置かれている状況より速度が出ているから

ロードバイクはプロレーサーでなくても長い下り坂があれば時速50km以上を出すことができます。

別のいい方をすれば、ブレーキをかけないと簡単に時速50kmに達してしまいます。

ブレーキを掛ける時は、速度を落とさなければいけない状況の時です。具体的には、速度を落とさないと、曲がれない、止まれない、衝突するなどです。

そんな速度が出た状況でブレーキのかけ方を誤ると大きな事故を引き起こしてしまいます。

ペダリングとは別の動作かつ乗車姿勢

実際、下り坂でのスピード出しすぎによる転倒事故は大きなケガにつながります。頭を打って死亡事故に至るケースもあります。

基本的に「自転車に乗る」=「ペダルをこぐ」ということになりますが、ブレーキングに関しては「ペダルをこぐ」という動作を止めて、ブレーキングという別の動作や姿勢(重心)が必要になります。

これこそがブレーキングが難しい理由です。

重心移動、路面状況の判断、操作感覚の蓄積など技術が要る

まっすぐでフラットな道路ならまだブレーキも容易ですが、連続した下りコーナーではブレーキ操作に加えて重心の取り方や路面状況の判断も重要になり、技術的にも難易度が上がります。

また、ブレーキングは実際に走行してブレーキレバーを引いた感覚や重心移動の程度を蓄積することによって技術が向上するものであり、慣れるまではスピードの出し過ぎや急な坂道の走行は避けるようにしましょう。

ブレーキングのミスは事故につながりやすく大きなケガをまねくため、ブレーキの操作技術はローディー(ロードバイクに乗るひと)にとって必要不可欠の技術です。

高度なテクニックは必要ありませんが、基本的な知識を習得し、走り出す前に必ずブレーキ操作の練習をおこないましょう。

ブレーキの役割

ブレーキの役割
  • 速度調整(スピードコントロール)のため
  • 停止するため
  • その他(重心のコントロールや車体の姿勢作り)

ロードバイクはレース用の自転車なので、ブレーキは止まるためではなく「速度調整」のためにあります。

そのため、瞬時に止まれるような強力なブレーキはもとから装備していません。

最近では、ディスクブレーキが主要なブレーキシステムとして普及してきましたが、ロードバイク全体ではキャリパーブレーキというホイールをブレーキシューで挟む方式の方が多いのが現実です。

したがって、ロードバイクのキャリパーブレーキは「速度調整の結果、停止する」という程度のブレーキ性能であることを先ずはしっかりと理解することが重要です。

つまり、「ロードバイクはすぐには止まれない」のです。

では、よく効くディスクブレーキですが、ディスクブレーキを装着しているロードバイクで急ブレーキを掛けてロードバイクが止まれたとしても、身体だけが前に飛ばされるか、ロードバイクごと前転するかになります。

とっさの時にブレーキをかけても止まれないと判断した場合には回避することを最優先に考えないといけません。

また、ブレーキングはスタンディングの際の重心バランスのコントロールやコーナーリング中の姿勢作りなどに使用します。こちらは初心者のうちは必要ありません。

ブレーキが止まるためではなく速度を落とすためのものだとは思いもしませんでした。

ブレーキのかけ方

ブレーキングのポイント
ブレーキの操作方法 ブレーキレバーは2本の指(中指・人差し指)でかける
ブレーキ時の姿勢(重心を後ろに下げる) ブレーキ時は重心を後ろに移動させる
前後のブレーキバランス 前後両方のブレーキを状況に応じてバランス良くかける

ブレーキの操作方法

ブラケットからブレーキをかける場合

ドロップハンドルの握り方

見通しが悪い場所や歩行者が多い場所など、とっさにブレーキが必要となる状況ではすぐにブレーキがかけられるブラケットをにぎりましょう。

そして、ブラケットをにぎる際はすぐにブレーキをかけられるようにブレーキレバーに指をかけておくようにしましょう。

ブレーキレバーは中指と人差し指の2本指でかけ、中指を中心にレバーを前側から押さえ込むようにしてひきます。

もし中指がレバーに届かない場合やしっかりとレバーを引けない場合はレバーの位置を調節する必要があります。

ブラケット自体で調節できるものもありますが無い場合はシムを噛まして調節します。

下ハンからブレーキをかける場合

ドロップハンドルの握り方

ブラケットと同じ2本指で弾くのが基本となります。下ハンの前方を握りレバーの下をひいてブレーキをかけます。

ブラケットの場合と異なり指を丸めるようにひいてブレーキをかけるため、力がかけやすく制動力は高くなります。

しかし、急にレバーを強く引くとロックしてしまうのでより慎重にレバーを引く必要があります。

ブレーキ時の姿勢

ブレーキをかけるとロードバイク自体は減速しても、身体は「慣性の法則」によりブレーキをかける前の速度で前にすすもうとします。

そのため、ロードバイク上で踏ん張らないと身体が前に投げ出されて、最悪の場合は前転してしまいます。

そのため、あらかじめ重心を後ろに下げておきます。

具体的には、腕を伸ばし頭を下げてサドルの着座位置を後方にずらします。

あらかじめ重心を低く後ろに持って行くことで、前に投げ出される力に対して対応することができます。

どの程度、後退ポジションを取る必要があるかは、スピードや下り坂の勾配などにもよってもかわってきます。

前後のブレーキバランス

物理的なくわしい説明はここではしませんが、前ブレーキの方が制動力が高くなります。

そのためクルマやバイクなどは前ブレーキを中心に止まるようになっています。

しかし、前ブレーキがきくからといってロードバイクでも前ブレーキしか使わないと前輪がロックして前転してしまいます。

なぜか?

ロードバイクは他の乗り物に比べて「重心位置が高く」、「ホイールベース(前輪と後輪の距離)が短い」のです。

ちなみに、ロードバイクに乗車した状態の重心位置は、サドルの少し前方になります。

そのため、前ブレーキだけしか使用しない場合は、前に進もうとする慣性力が上方向への力に変わってしまいます。

結果的に、後輪の接地がなくなり、コントロール不能になり転倒、もしくは前転ということになってしまいます。

これを防ぐためには、適度に後ろブレーキも使い、後方に引っ張る力も生じさせなければなりません。

よくロードバイクのブレーキングに際して以下のようなことがいわれます。

A:「前ブレーキを引いてから後ろブレーキを引くようにしてください。」
B:「前後ブレーキを同時にひいて下さい。」
C:「前後6:4でひいてください。」
D:「前後5:5でひいて下さい。」
E:「前ブレーキを中心にかけて、後ろブレーキは補助的に使って下さい。」

と様々なことがいわれていますが、全部正解ですが全部間違いでもあります。

なぜなら、スピード、路面状況、傾斜角度などによって適切な前後のかけるタイミングやブレーキ配分は異なるからです。

たとえば、激坂といわれるような急な下り坂で前ブレーキをメインでかけることはありません。

状況に応じて、前後のブレーキのタイミングや配分を調節する必要があるのです。

パニックブレーキ

初心者がよく起こす転倒の原因にパニックブレーキがあります。

危険を感じて慌てて急ブレーキをかけて前輪がロックしてしまい前転したりバランスを崩して転倒してしまうのです。

スピードの出し過ぎに注意し、危険予測を行ないましょう。

ブレーキの練習方法

繊細なブレーキのタッチを習得する

繊細なブレーキのタッチを習得することがブレーキング上達の秘訣です。

そのためにはブレーキが掛かり始めるレバーの引き具合とロックする引き具合を知ることです。

先ずは、ロードバイクを押しながらブレーキをかけてみましょう。

ブレーキシューがリムに触れていても前に進むブレーキのタッチはとの程度のレバー加減なのか感覚をつかみます。

次に、完全に止まってしまうのはどのぐらいの強さでレバーを引いたときなのか感覚をつかみましょう。

さらに、前ブレーキだけ、後ろブレーキだけ、前後ブレーキを同時にかけた場合、タイミングをずらした場合もやってみましょう。

前後ブレーキの効き方や状況に応じたちから加減を習得する

ロードバイクを押してブレーキの感覚をつかんだ次は、ロードバイクに乗って同じことをやってみましょう。最初はフラットな場所でスロースピードで始め、徐々にスピードを上げていきましょう。

平地でやったあとは、下り坂でやってみましょう。緩やかな下り坂、急な下り坂と徐々に勾配を上げていきましょう。

ここまでやれば、ブレーキタッチの感覚が良くなっているはずです。

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