今回からロードバイクの各パーツについて学んでいきます。まず最初はフレームです。
前回の「ロードバイクの構成要素ごとの価格差の原因」で学んだとおり、フレームは一番コストのかかるパーツです。また、乗り味に最も影響が出る重要なパーツです。
わかりました。頑張ります!
三角形2つを組み合わせたダイヤモンドの形状したロードバイクのフレームですが、それぞれの各部分に名称があります。
フレームのサイズを選ぶ際に重要なのは、シートチューブとトップチューブの長さです。まずはこの2つを覚えましょう。他は知りたいときにここに戻って確認すればよいでしょう。
初めて購入する際には標準的なオールランドタイプのロードバイクのフレームを選択すればよいのですが、使用目的が限定的になればフレームの選定が重要になります。
タイムアタックやトライアスロンなど平坦な道で高速巡航を行うのが目的であれば、多少重量は増しても空気抵抗に優れた専用のフレームを選択することになります。
カーボン素材の普及で軽量化と形状の多様性が確保され、ここ数年はオールラウンドタイプでも空力を取り入れたエアロフレームが採用されるようになってきています。
エアロフレームの方が好みであれば最初からエアロフレームを選べばよいです。
ヒルクライム(登坂)が主な使用目的であれば、ヒルクライム向きのより軽量で固い細身のフレームを選択することになります。
また、ロードバイクのフレームをカスタムオーダーするのであればジオメトリー(フレームの寸法)を指定して自分好みの形状に作ることも可能です。ジオメトリーについては後のチャプターで解説します。
まずはフレームの素材からです。フレーム素材には、1カーボン、2アルミ、3クロモリ、4チタンと大きく分けて4種類あります。一昔前まではアルミが主流でしたが現在はカーボンが主流になっています。
素材ごとに、見た目の質感、重量、しなり、振動吸収性、乗り味が大きく異なります。素材を組み合わせて作られたフレームもあります。
通常、単一素材であっても使用目的によってフレームの部分ごとに素材の配合割合、形状、厚さを変えています。
また、素材ごとにメンテナンス方法にも違いがあります。
各素材の特性やフレームごとの特性を知ったうえで、あなたの使用目的に合ったフレーム(完成車)を選びましょう。
現在、主流となっている炭素繊維素材です。黎明期に比べて製造技術は確立され、短所といわれてきた点も払拭されてきました。
アルミやクロモリに比べて軽量でありながら高い剛性と振動吸収性を誇ります。さらに、金型でフレーム全体を整形するので溶接跡がなく、見た目も美しく仕上げられます。
最も新しい素材で製造に手間が掛かるため数年前までは高価な素材でした。しかし近年はトップグレードでもアジアで製造されるようになり全体的に価格は下がってきました。
金属のフレームとは異なり局所的な力には弱く最悪の場合、カーボン繊維が剥離を起こしてしまうというもろさがある。
また、事故などで過度の力が掛かった場合クラックが入ることがありますが、外観からはわかりにくく気づかずそのまま走り続けてしまう危険性があります。
カーボンを固めている接着剤は紫外線に当たると劣化するといわれているので屋外での保管には向かず保管場所には注意を要します。
カーボン黎明期から比べ、加工技術が向上したこと、コストダウンが進んだことで、この数年でエントリーグレードでもカーボン素材が採用されるようになってきました。ロードバイクの軽快さを味わうならこのカーボンです。
今日では安いフレーム素材の代名詞的な位置づけとなっているアルミですが、カーボンフレームがでてくるまではレースの世界でも主流でした。
クロモリに比べて錆びにくく、しなりがない分、ダイレクトな応答でクイックな加速が魅力。価格が安く、そこそこ軽いということでコストパフォーマンスが良い。
もともと軽くて柔らかい金属で素材自体の強度がないためフレームのパイプを太くして強度を上げています。そのため、もっさりしたデザインになりやすいです。
また、しなりがなく振動吸収性に乏しく固い乗り心地で疲れやすいと感じる人もいます。他の金属に比べると疲労が早く寿命が短いです。そのため経年したものは走行中にいきなり破綻することがまれにあります。
なんといってもコストパフォーマンスがよい。低予算であればアルミフレームを選びましょう(アルミしか選べない)。安いからダメというわけでは決してありません。カーボンが登場する一昔前まではロードレース用のフレームとして最前線で使われていました。
鉄とクロム、モリブデンという金属を混ぜた合金。クロモリといっても鉄のことです。昔からある素材で、最近クロモリが見直されてひそかに人気がでています。
合金で丈夫なのでフレームを細く設計でき、スリムでスタイリッシュなデザインのフレームになります。固いという鉄のイメージとは裏腹に、フレームの振動吸収性が高く、バネの原理で乗り心地がしなやかです。
他の素材と比べてもっとも重い。また、鉄のため錆びやすく、フレーム内部や塗装がはげた部分には注意を要します。
そのため、定期的にフレーム内部をオイルコーティングしたり、雨天走行後に水抜き作業をする必要があります。価格もアルミやエントリーグレードのカーボンほど安くありません。
私が初めて乗ったロードバイク(当時はロードレーサーといいました)はクロモリでした。当時はクロモリ一択という時代でクロモリにも安価なものから高価なものまでありました。踏み込んだときにフレーム自体がしなって後からブインブインとくる加速感はクロモリでしか味わえません。
個人的にはクロモリフレームを選ぶのであれば個人のビルダーさんのショップで買いたいです。
「クロモリ ビルダー」辺りのキーワードで検索してみるとご近所にビルダーさんのショップがあるかもしれません。
チタンは加工の難易度が高く高価なレア素材のため、「一生もの」や「あがり」といわれますがそれがチタンフレームの特徴を物語っています。
錆びず、経年劣化がほとんどないため耐久性が非常に高い素材です。また、軽量で高い剛性をもっています。
素材の希少性と加工が難しいこともあって高価です。そのため、カーボンが普及した現在ではチタンフレームを取り扱っているメーカーはごく一部で選択肢が少ないのが現状です。
チタンフレームを購入する金額でロードバイクの完成車が1台が買えてしまいます。そのため2台目以降のフレームとして、もしくは「あがり(最後)」のフレームとしておすすめです。
こちらはおそらく最も高額なチタンフレームと思われるDE ROSAの「ANIMA」はフレームセット(フレームのみ)で¥1,364,000(税込価格)です。
価格はもちろん目玉が飛び出るくらい高額ですが接合部もとても綺麗である意味プロダクトというよりは芸術作品です。