女性向けのサイズがあまりないという話をよく聞きます。
身長148cmの私に合うサイズがあるのか心配です。
心配しなくても大丈夫です。
最近は女性向けの小さいサイズが増えてきています。また女性専用ブランドも出てきていますよ。
サイズ選びを間違えると買い直すしかないので、自分に合ったサイズを自分で選べるようになりましょう。
ロードバイクのWEBサイトやカタログを見ていると必ず目にするのがフレームの「ジオメトリー」です。
ロードバイクのサイズを自分で選べるようになるためにはこのジオメトリーを理解する必要があります。
ジオメトリーとは一般的には「幾何学」のことをいいますが、自転車の世界では「フレームの寸法(設計図)」のことをいいます。骨格を意味する「スケルトン」といういい方をすることもあります。
まずはジオメトリーというフレームの寸法図があることを知ってください。
フレームサイズを選ぶ上で重要なのは「シートチューブ長」と「組み上げた状態でのトップチューブ高」です。
シートチューブが長いとペダルに足が届かなくなります。また、トップチューブの位置が股下より長いと片足でしか支えられず転倒の危険があり危険です。
逆に、シートチューブが短いとサドルの高さが確保できず、膝を曲げた状態でペダルをこぐことになります。力が入らずすぐに疲れてしまいます。
名 称 | 説 明 |
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トップチューブ長 | スローピングフレームの場合はあまり意味をなさない数値。
サイズを見る際には次の水平換算を利用します。 |
水平換算トップチューブ長 | 上体のポジションを決める上で重要な数値。 この水平換算のトップチューブ長とステム長を合わせた数値がサドルからのハンドルまでの概算値となります。 |
シートチューブ長 | トップチューブ長とともにポジションを決める上でもっとも重要な数値。 スローピングがきいたフレームの場合は次の水平換算した数値を用いて計算します。 このシートチューブ長+クランク長+シートポスト長+サドル自体の高さが股下の長さの概算値となります。 実際、ポジションを出す際にはシートポストの長さで調整するためシートポストが10cm以上でるサイズを選ぶのが基本になります。 |
水平換算シートチューブ長 | スローピングフレームの場合はポジション出しの際にシートポストの長さを考慮し実際にポジションがだせるかを確認する必要があります。 |
ヘッドチューブ長 | 極端に長くなるとステムの取りつけ位置が高くなってしまい低いハンドルのポジションがとれなくなります。 長いほどハンドリングのガタがでにくいが近年はヘッド径の大型化で対応しています。 サイズを見る際には次の水平換算を利用します。 |
シートアングル | シートチューブの傾き。 角度が大きいほど乗り心地がよいといわれています。 近年はエアロフレームが多く、このシートチューブが後輪をおおう形状になったフレームが増えてきています。 フレームサイズが小さい場合は、リアセンターの長さに与えるに影響がおおきくなります。 |
ヘッドアングル | ヘッドの傾き。 角度が小さいとシビアなハンドリング、角度が大きいとマイルドなハンドリングになります。 フォークの形状にもよりますが、シート角と同様、角度が大きいほど乗り心地がよいといわれています。 フレームサイズが小さい場合は、角度が大きくなってしまいます。 |
フロントセンター | フレーム選び上あまり考慮することはありませんが、小さいフレームの場合、ハンドルを切った際に足先が接触するため注意が必要です。 |
リアセンター | 短い方がレスポンスがよいため、極力短くするように設計されています。 ロングライドやツーリング向けの場合は長めにとって乗り心地をよくしています。 |
ホイールベース | この数値は大きいサイズになるに従い長くなります。 サイズ選び上、特にこの数値を考慮することはありません。 短い方が最小回転半径が小さくなるので旋回性能があがります。 長い方が直進安定性がよくロングライドやツーリング向けになります。 |
ハンガー下がり | 前後のハブセンターの水平値からボトムブラケットがどの程度下がっているかを示す数値。 BB下がりともいう。 逆に地面からボトムブラケットまでの高さをBBハイトという。 高い位置の方がリアセンターをはじめ各チューブが短くなり重心位置もあがるため、シビアでクイックな反応になります。 低い位置の方が各チューブが長くなり重心位置が低くなるため、乗りやすくマイルドな反応になります。 |
下の2つの画像はコルナゴのカタログに掲載されているジオメトリーです。通常、カタログやWEBサイトには必ず載っています。
ホリゾンタル(horizontal)とはトップチューブが地面と水平なフレームです。スローピング(sloping)とはトップチューブが地面と水平ではなく傾斜しているフレームです。スローピングフレームの場合にはサイズ表記が実寸なのか、水平換算されたものか必ず確認しましょう。
先ほど、コルナゴのカタログのジオメトリーでは実線で書かれたスローピングフレームに対して、点線で水平換算したホリゾンタルフレームが描かれています。「PS」がスローピングフレームの実際のシートチューブ長で、「P」が水平換算のシートチューブ長になります。
フレームのなかにはISPと呼ばれるフレームとシートポストが一体になったインテグラルシートポスト(Integral SeatPost)を採用しているものがあります。
ISPはシートポストがフレーム一体型になるため、剛性のアップ、軽量化、エアロ化などのメリットがあります。
ISPを採用しているフレームの場合、シートチューブ長は水平換算ではなく実寸で表記されることが多いです。そのため、フレームサイズを選ぶ際にはISPかどうか念のために確認しておきましょう。
また、ISPの場合、やぐら側でシート高の調整をするため調整の範囲が上下1cm~2cm程度と狭くなります。
ISPのフレームには、あらかじめシートチューブ長が固定で決まっているものと、最初に合う長さにカットするものがあります。
そのため、フレームサイズを選ぶ際はポジションが出るのか慎重に確認する必要があります。カットする場合はよく検討してからカットするようにしましょう。
ロードバイクでは様々な体格の人に合ったフレームを選べるようにモデルごとに複数のサイズをラインナップしています。サイズ選びの注意点がありますのでよく確認して下さい。
通常、フレームサイズはシートチューブ長で表記されます。メーカーによって「mmミリ表記」の場合や「cmセンチ表記」の場合もあります。なかには、XXS、XS、S、M、L、XLといったサイズ表記をしている場合もあります。
メーカーによってはフレームサイズに対する適応身長が書いてあります。下の表はGIANT(ジャイアント)とTREK(トレック)の適応身長をグラフ化したものです。ピンクはレディースモデル用の専用サイズです。
帯の真ん中あたりに来ているフレームサイズが大きすぎず小さすぎずちょうどよいサイズというということになります。
ここで注意点があります。
身長170cmの方に適応するフレームサイズを両メーカーで確認して下さい。GIANTは445(S)、TREKは54が適性サイズですね。同じ身長で約10センチも違います。
これはメーカーによって、寸法を測る基準が異なるからです。チューブの端で測るのか、チューブのセンターで測るのかによっても異なります。シートチューブを実寸サイズで表記しているのか、水平換算しているのかによって違ってきます。
また、先ほどのISPの場合には実寸で表示されるため通常のサイズよりも大きいサイズで表記されます。
同じメーカー内でもモデルによってスローピングとホリゾンタルのフレーム、ISPサドルがあるため、数値そのままの比較は意味がないのです。
適応身長はあくまで目安です。各モデルごとにジオメトリーを確認してサイズを選ぶようにして下さい。
ショップにいって、最新のフィッティングマシーンを使わなくても、正しい知識を身につければ、自分でフレームサイズを選ぶことができます。
自分に合ったフレームを選ぶ際に重要になってくるのは、「シートチューブ長」と「トップチューブ長」です。「シートチューブ長」は下半身(股下)の寸法、「トップチューブ長」は上半身の寸法が関係してきます。
基本的なフレームサイズの選定方法ですが、身長ではなく股下寸法から計算します。股下寸法を実測し、股下寸法からサドル高を計算し、次にサドル高からシートチューブ長を計算し、フレームサイズを選びます。
フレームサイズを選んだら、上体のポジションが出せるか、ステムの長さ、ドロップハンドルのリーチ、サドルの取り付け位置など、上体の前後のポジションがだせるかも念のため確認しておきましょう。
股下寸法は壁にそって立ち、ハードカバー本や直角な木片などを挟んで測ります。その際、歩幅は15cm程度明けます。15cm程度脚を開く理由はQファクターといってペダルをこぐ際に実際にそれぐらい開いているからです。
股下寸法が測れたら下記の適正なサドル高がわかる計算式でサドル高を計算します。
通常は、股下寸法に0.87~0.88あたりの数値をかけた数値なります。もちろん乗り方や体格などによっても変わってきますのであくまでフレーム選定の目安として使用して下さい。
サドル高とは、ボトムブラケットの中心からサドルの天辺までの高さをいいます。注意していただきたいのは地面からサドルの天辺までの高さではないところです。
ボトムブラケットとはペダルをこいだ力を駆動力としてつたえる回転軸となる部分のことをいいます。通常はフロントギアと一体となったクランク軸が収まっています。
フレームサイズを検討する際のサドル高は、「シートチューブ長+シートポスト長+サドルの高さ」の3点の長さの合計です(上図参照)。
サドル高を実際に調整するのはシートチューブからシートポストを出す長さです。
シートポストが出る長さは、フレームの形状がホリゾンタルかスローピングかによっても変わってきますが、トップチューブ上端より10~20cm程度出ていれば問題ないです。
今日では安いフレーム素材の代名詞的な位置づけとなっているアルミですが、カーボンフレームがでてくるまではレースの世界でも主流でした。
シートポストの「やぐら」という部分でサドルのレールを固定しますが、その取り付けに20~25mm程度の調整幅があります。
取り付け位置を後方にすれば前乗り、前方にすれば後ろ乗りのポジションになります。最初は真ん中か少し後方(前乗り)で取り付けるとよいでしょう。
シート自体の素材にはカーボン製の固いものから、厚みのあるパッドが入ったものまであります。パッドが入ったものは実際に座ると沈むのでその分も考慮しましょう。
また、座面がフラットなサドル、座面が股の形状に合わせて凹んでいるサドルがあります。サドル高を計算する際にはその点も注意しましょう。
サドルの高さ自体は取り付けレールから通常40mm程度になります。
フィッティングと呼ばれる実際にロードバイクに乗車するためのポジションを詰める作業をおこなう際には他の要素も考慮します。
そのフィッティングの際には、さらに、クランク長+ペダルの踏み面の高さ+シューズの底の厚さ+インナーソールの厚さ+ソックスの厚み+レーパンのパッドの厚みなど考慮しなければいけません。
フィッティングは購入後乗り出す前におこなえばよいので、フレームを選ぶ段階では適正なサドル高が出せるかどうかを確認します。もちろんポジションの微調整ができるように大きすぎず小さすぎないサイズを選ぶ必要があります。
フレームの選定のために「サドル高」や「シートチューブ長」を計算する際にクランク長は関係がありません。しかし、実際にポジション(乗車する際のサドルとハンドルの位置)をだす際やペダリングをおこなう際には影響があるのでご紹介しておきます。
クランク長は165mm~180mmまであり、170mmをセットアップしているモデルが一番多いですが、フレームサイズに応じて複数の長さを割り当てているモデルもあります。完成車を検討している場合は必ずクランク長を確認しておきましょう。
使用するクランクの長さの違いでサドル高最大で15mmが変わる可能性があります。実際にペダリングをおこなうにあたってはクランク長はすごく重要です。
競技レベルでポジションをだす際には考慮要素となります。
初めてロードバイクを手に入れる際にはクランク長を判断する基準がないので完成車にセットアップされているクランク長を所与としてシートポスト側で調整します。
個人的には身長や股下寸法で一概に決めるのは間違っていると考えています。仮に身長160cmの方がクランク長175cmでもクランク長を生かしたペダリングができるのであれば別に問題はありません。
計算して求められたシートチューブ長が基本的にそのままフレームサイズになります。
理想的なシートポストの長さを13cmとして計算していますが、フレームの形状や好みによって理想的な長さが異なってくるでしょう。
フレームのサイズは2cm~3cm刻みが多いのでワンサイズ上げると、トップチューブ長も2~3cm変わると思いますが実際はそうではありません。
小さいサイズはスローピングで、大きいサイズになるにつれてホリゾンタル化していくモデルが多いのです。
コックピット長とは、サドルセンターと呼ばれる着座の中心となる位置からドロップハンドルのブラッケット部分もしくはトップバーまでの長さをいいます。簡単に言えば、サドルに座る位置からハンドルをにぎる位置までの距離のことです。
ハンドルをにぎる位置によって上体の姿勢が変化するので、さまざまなハンドル位置をにぎっても、窮屈なポジションにならないか、遠すぎないか確認しておく必要があります。サドル側は取りつけ位置が前後約25mm調整可能、ハンドル側はステム長で通常60mm~120mm調節可能です。
ロードバイクがない段階ではあくまでシミュレーションになります。
実際にポジションをだす際には、ハンドル幅やハンドルの形状なども影響してくるため机上で細かい計算しても意味がありません。
サドルセンターはサドルの種類にもよりますが通常はシートポストのやぐらの上部あたりになります。ここからトップチューブ、ステム、ハンドルへの長さの合計となります。
コックピット長の調整は、ステムの長さとサドルの取り付け位置でおこないます。
ロードバイクの場合ステムは6cm~12cm程度、サドルの取り付け位置は前後最大2cm程度動かすことができます。
サドル高が確保できたフレームであっても、ステムとサドルの取り付け位置で適切なコックピット長が確保できない場合は、そのフレームサイズは選択できません。
自分にあうフレームサイズがわかったらトップチューブ長も必ず確認しておきましょう。
ロードバイクのモデルごとにジオメトリーは異なります。特に同じサイズ表記であってもモデルが違えばトップチューブ長は異なるので注意が必要です。
ステム長に関しては、走り込むにつれて上半身のポジションが変わっていくため徐々に長くなっていく傾向があります。そのため、後からステムを2~3cmぐらい伸ばす余裕をもってフレームを選んでおいた方が良いです。通常、長いステムで12cmですから乗り出し時に10cm未満にはしておきたいところです。
ステムの取り付け位置(高さ)もコラムスペーサーの範囲内であれば下げることが可能です。通常の完成車であれば20mm~30mm程度の調整が可能です。一旦ステムの取り付け位置を下げて再度上げる必要がなくなった場合はコラム自体をカットした方がスッキリします。
通常、ロードバイクに乗り慣れてくると体幹の筋肉がつき、上体を低くして重心を下げてこぐようになります。
そのため、サドルはのちに後退かつ低下することができる余裕を、ステムはのちに長いものに交換できる余裕を残しておくことが重要です。
ただし、ヒルクライムを中心にポジションを出す場合はサドル位置を前目にセットします。そのため、サドルの取り付け位置は前後に動かせるように最初は真ん中の位置で出しておくのがよいです。
コックピット長は伸びても、サドル高はそれほど変わることはありません。
結果的に上図のような変化になります。
ステムを長いものに交換できる余裕を残しておくことが大切です!
一度にすべて理解するのはむずかしいので何度も読んで下さい。
フレームサイズの選定も兼ねてサドル高のイメージ・フィッティングをしてみましょう。
イメージ・フィッティングとたいそうなネーミングですが、やることはジオメトリーやパーツの寸法図を実際に紙などに描き出すことです。もちろんパソコンを使って検討モデルの画像を背景に数字を書き込んでいってもよいでしょう。
事例を使って実際にシミュレーションをしてみましょう。
サドル高の目安「股下寸法×0.875」と「シートチューブ長+サドル高さ40mm+シートポスト長」が等しいという等式に当てはめます。
シートポストが13cmでるフレームサイズを計算する【事例1】と所与のフレームサイズでシートポストが何センチになるかを計算する【事例2】を確認してみましょう。
両者が等しいとすると「56cm=シートチューブ長+19cm」となり、「シートチューブ長=56cm-17cm=39cmとなります。
両者が等しいとすると「77cm=60cm+シートポスト長」となり、「シートチューブ長=77cm-60cm=17cmとなります。
〈注意〉事例の股下寸法は日本人の平均股下比率(股下寸法/身長)約45%を参考にしています。